Gibson Les Paul Classic Plus 地球最大の決戦
マサトミです。突然ですがゴジラは好きですか?「GODZILLA:King of the Monsters」は見ましたか? キングギドラ、カッコよかったです。着ぐるみという制約がなく、造形としては過去最高だと思います。マサトミの世代だと最強モンスターはゴジラではなくてキングギドラじゃないですかね。なんせ金星滅ぼしてますからね!知らんけど!まぁそんなKingの話を。。。
前回から紹介していますGibson Les Paul Classic Plus(1999年製Translucent Amber)です。好きなギタリストが使っているギターはシングルコイル系が多くて、レスポールに思い入れは無いのですが、「エレキギターの王様」を所有してみたかったんですね。それとレスポールといえば、太く歪んだ音でリフを鳴らすイメージですが、当時レスポールをコードカッティングに使ってるギタリストがいて、カッコ良かったので真似してみたいと考えてたような。それが誰なのかは全く覚えてませんが(笑)。
先に改造後の写真を掲載します。
ワイルドな虎目が美しいです。写真ではわかりませんが、トップ板の厚みのために見る角度でかなり変化します。もうメラメラしてる感じで素晴らしい!このために買ったと言ってもいいかもしれません。色もアンバー(アメ色)好きですね。このままGretsch6120にしたらパーフェクトかも。
ヘッドです。このモデルのポジションマークは元々この黄ばんだ色です。
背面は目立った木目はありません。90年代は使ってる材質が良いと言われてますが、マホガニーの良し悪しって木目でわかるんですかね?
ヘッド裏。通常シリアルは刻印ですが、Classic感を出す為にスタンプです。頭の9が1999年を示しているはず。通常シリアルとは違います。
お馴染み真横から。
ヘッド横から。
重さは4.4kg。ヘビー級ですね。持ってるギターでは一番重いと思います。
ここから時間を遡って改造前から再スタートです。
改造箇所の検討のため、内部を見ていきます。
右下のカバーを外します。。。
げっ!ちょっと割れてる。。。いつの間に。。。
ポットはベースプレートに固定されていて、このプレートがアースも兼ねています。そういえば、一時やけにノイジーになったことがあって、見てみると左上ポットにハンダ付けされているアース線が外れてたことがあります。このアース線は内部でブリッジに配線されているようで、弦アースが外れた格好になっていたようです。
ポットは全てGibsonの刻印が入っています。カッコいいので(笑)ポットはこのままにしましょうかね。ん?よく見るとなんか毛羽立ってますね。。。なんだろこれ? カビでは無いようですが。ウィスカ?
ピックアップからの配線はBraided Wireですが、セレクタまでの配線はよくある4芯シールド線ですね。。。このヒョロヒョロの配線でいい音が出てくる気がしません。これは交換したいですね。
コンデンサはセラミックの223(0.022μF)です。セラミックは見た目はショボいですが、音は意外と悪くないと思います。
毛羽(?)を掃除しました。
ピックアップセレクタのカバーを開けたところ。
セレクタSWを外します。
おっ! SWITCHCRAFT 製が付いてました!なんか得した気分ですね(笑)。これもこのまま使いましょう。
うん、この配線ね。4芯シールドってもうちょっと良さげなの無いんですかね?
ピックアップも外してあります。トップのメイプルが結構厚いことがわかります。ピックアップキャビティには手書きで色々書かれてます。 LPCPはモデル名頭文字ですかね。
さて、内部を確認して今回のレシピは、言うまでもなくピックアップの交換、気の持ちようかもしれませんが4芯シールド配線材の交換、コンデンサはセラミックでもいいのですが、オイルコンデンサを試してみたいので交換、テールピースの交換(後ほど)です。
1.ピックアップの準備
ピックアップは前回試した Epiphone Alnico Classic Pro(以下EACP)を使います。
エスカションが付いてましたが、そのままでは付かないので、これは使いません。
準備というのは、このEACPもコイルタップ配線を可能にするため、ギター本体と同じく4芯シールド線が使われています。通常のハムバッカーで使う場合、実際の信号としては
コイル→ピックアップ配線の先でショート→コイルに戻る→ボリュームポット→セレクタSW→ジャック
という長い経路でこのヒョロヒョロ線を経由することになります。配線材の影響が如何程のものかという議論はありますが、タップは使わないので、潔く単芯シールド線に交換します。
前回カバーを外したフロント用です。
白く見えているのはぐるりと貼ってあった保護用紙テープを剥がした跡です。
カバーを外したところ。
このピックアップについては前回記事でも紹介しています。
ポールピースを外して、一旦ピックアップそのものを分解します。
ネジ頭の白いのはロウです。。。このピックアップはロウの量が凄いです。作業中ずっとペタペタしてて、もう早く終わりたかったです(笑)。
4芯の色をコイル巻線側にメモりました。この後4芯シールド線を外して、ここで緑白をつないで、赤を信号線、黒をアースシールドにつなぎます。この状態にしたかったので、一度分解したわけですね。ちなみに畳の上で作業しているわけではなく、畳屋さんのチラシです。結構な畳感ですよね。違うの使えばよかったです(笑)。
マグネットです。EACPはGibson 57Classicベースなのでアルニコ2のはず。62〜3mm意外と長い。
幅17〜8mm。
厚み3mm。
収縮チューブを外して半田付けを取りました。
次はリア用のカバーを外します。
カバーはいつも通り、半田をホビーのこでゴリゴリと 切ってます。このピックアップは隙間が狭くて、半田が硬く、時間がかかりました。
同じく分解のためにポールピースを外していきます。
ん?何か違和感が。。。
ゼブラ🦓❗️❗️❗️リア側の中身ゼブラでしたよ!(何故か慌てるマサトミ)
演出ではなく、本当にしばらく気がつかず淡々と作業を続けてました(笑)。カバー付きを頼んだので中身は不問ですが、ゼブラとわかると、「じゃあカバー無しで両方ゼブラに。。」「フロント用はどーする?」とかお花畑状態に。
ひとしきり夢想したところで我に帰り、予定通りカバー付きで続行です(笑)。
同じくメモして半田付けを外しました。
配線材は当然Gibson風にBraided Wireを使います。
実物です。説明文に2本編み限定品と書かれています。この限定期間は結構長かったようですが、この後再度購入したら3本編みになってました。又、芯線もAWG30x7本=AWG22は変わらないのですが、芯線同士がメッキでまとめられていて、単線のような感触でした(この変更は念のためサウンドハウスさんに確認しました)。
こういう物はMONTREUXさんが作らせてるわけではなく、調達してくるのだと思います。その都合なのでしょうね。
赤を芯線に接続、黒はピックアップのベースプレートに半田付けしました。Wireの外皮シールド をベースプレートに半田付けして共通アースにします。
ピックアップの配線材交換完成です。いや〜なんかいい音しそうでもう満足です。
上のエスカションはギターに付いてた物です。ネジはEACP付属品を使いますが、吊り下げネジが微妙に入らないため少し穴を広げました。中国製ですがひょっとしてミリ規格品?
先にここまで組み立てておいて、、、
取り付けました。
まだセレクタSWの配線をしてませんが音出ししてみましょう。
★Epiphone Alnico Classic Proの音
セレクタSWの代わりにワニ口クリップでジャックに接続して、フロントとリアの音を確認しました。
前回はフロントのみの比較でしたので、今回注目はリアの音です。それではジャカジャーンと。。。ああ、なるほど。。。んー、こういう感じなのね。
・元の500Tのドンシャリな音と比べるとかなり地味。
・リアの1、2弦は「コキッ」「クキャッ」とした、低出力らしい音。
・5、6弦はブーミーさは皆無。倍音少なめだけどサスティンあり。
・500Tはコードカッティングは似合わない音でしたが、こちらはいけそう。
ちょっと表現がネガティブでしたね。倍音少なめで、大人しい音です。イメージするレスポールらしさとは違いますが、シングル系に馴染みのあるマサトミからすると、これでいいような。。。
と、この辺りで根本的な問題に気がつきました。それは。。。目標とする音が無い(笑)。
そう、他のギターと違って、あの人のあの音をイメージして〜という音が無いことに気が付きました。いや、レスポールを使ってる好きなミュージシャンはいっぱいいますよ。でも自分でその音を出したいかというとそうでもないという。。。
そうなると、もう自分なりにいつもの「いい感じ」と思えるかどうかが基準ですね。その基準で言うと、リアはもうちょっと元気でもいい気がします。今まで何度か書いてますが、自分にはヴィンテージ寄りすぎるのかもしれませんね。
そしてフロントはこちらもリアと同じ印象です。ただリアとのバランスで言うともう少しだけタイトでもいいかも。
何しろ目標が無いので、このまま色々アンプやエフェクター の組み合わせを試してみることにします。でも小改良として、マサトミブームのマグネット交換でもしてみましょう。リアはアルニコ2を5に変更します。世間の評価では磁力が上がってちょっと元気になるはずです。フロントは2から2ですが、MONTREUXマグネットがあるので同じように交換しちゃいましょう。
再度ポールピースを緩めてマグネットを外します。
今回はアルニコ5を購入しました。
上が付いてたマグネット、下が購入したマグネット です。研磨してないので見た目がだいぶ違いますね。
フロントは前回も使ったアルニコ2です。
さて、EACPを元に戻していくわけですが、最初にピックアップ改造のために剥がした黒い紙テープをどうしようかなと。一旦布テープを巻いたのですが、やっぱり紙にしたいような。
よくあるマスキングテープに黒色があればそれでもいいと思ったのですが、見つけられず。結局ピックアップ用と謳ってる紙テープを購入することにしました。 中国製のピックアップ製造に使われている紙テープなのだと思います。
実物です。マスキングテープよりも厚くて丈夫な感じでした。質感は良い感じです。
おお、ぱっと見は元通りです。カバーしちゃえば見えないんですけどね。 自分にしかわからないこだわりみたいなもんで、こういう改造を誰かが「服の裏地」に例えてましたが、その通りだと思います。
カバーと接触するベースプレート部は綺麗にカットしてあります。写真は無いですがカバーしてピックアップ完成です。Filter Tronと違ってカバーは被せてるだけなので、少し半田付けして固定しました。
で、マグネット交換後の音ですが、ほんの少し狙った効果があった気がします。AB比較できないので記憶との戦いですが。
とここで、またしても新事実が!EACPのマグネットはアルニコ5のようです!?Epiphone公式には何故か明記が無いのですが、海外のギター関連フォーラムでEpiphoneに質問した人がいて、アルニコ5と回答があったようです。
Epiphoneのもう一つのピックアップ「Pro Bucker」はアルニコ2と明記されているし、そもそも 57Classicはアルニコ2なので、2と思い込んでました。差別化のためにこちらは5にしたんですかね?
てことはリアは5から5に、フロントは5から2に変更したことになります。。。効果は気のせいか。。。でももう確認しません。。。めんどくさいから。。。気を取り直して次の改造へ。。。
2.内部配線の交換
セレクタSWとボリュームポットを接続している4芯シールド線を交換します。
配線材はもう言うまでもなくBraided Wireを使います。これを3本使って、
・フロント用ボリュームポット
・リア用ボリュームポット
・ジャック(正確には上の写真真ん中の中継プレート)
ここに配線します。
途中は線材の前加工しか無いので割愛、セレクタSW部はこうなります。
外部シールドに3本まとめてアース用ワイヤを巻いて半田付け、これをセレクタSWのアースに半田付けします。この方法はヴィンテージGibsonの配線方法を再現したものです。
元の4芯シールド線に比べると随分太くなりますが、
安心してください、通せますよ!(古い?)
最初からこの右の穴に通すことを想定して加工してます。
ピックアップの配線も変更したので、これで経路が全てAWG22になります。以前の実験から音が太くなってるはず。比較はできませんが、間違いない!(もっと古い?ていうか、わかんないかも)
3.コンデンサ交換
トーン用のコンデンサ、これもよくある改造ポイントですね。トーン10でも影響があるとかないとか。これは効果がわかりにくいですね。トーンを使うならまだわかりやすいでしょうが、マサトミ、ギター本体のトーン使ったことないですから(笑)。これこそ「服の裏地」は言い得て妙ですね。
元々付いてるセラミックも例えばFender系には悪くないと思ってますが、Gretschのギターが2015年(だったかな?)にシリーズ一新する時に、「オイルコンデンサ復刻」を謳っていて、古いコンデンサはオイルと認識しました。
サウンドハウスさんでこれを見つけて、評判も悪くないし、見た目も悪くないし、そんなに高くもない(高い物は1個で数千円します)ので、これを使ってみることにしました。
でかっ!でも軽っ!足のフォーミングが必要です。
コンデンサを半田付けして、セレクタSWからの配線を半田付けして完成です。真ん中のジャック中継プレートへの配線は長いので、外部シールドが信号線にショートしないようにチューブを被せています。
音出ししてみましたが、やっぱりコンデンサの効果はわかりにくいですね。明るくなったといえばそうかもしれませんが、他にも色々変えてしまっているので、コンデンサのみで比較しないとわからないです。
この手の改造ってのは、1箇所変えても効果は少ないのですが、それの積み重ねでちょっとだけいい音に近づける作業だと思います。
4.テールピースの交換
元々付いてたブリッジとテールピースです。ニッケルメッキに20年のくすみが。 これ、材質は亜鉛合金のようです。
今回レスポールの改造例を調べていたら、 ヴィンテージではアルミだったらしいですね。知りませんでした。更に最近のGibsonではアルミ製採用のモデルもありました。
で、アルミ製交換用テールピースは入手可能です。ブリッジも、と思ったのですが、こちらは見つけられず。
亜鉛合金とアルミでは重さが違います。直接振動を受けるブリッジではなく、テールピースを軽い材質の物に変えたらどうなるのか、すごく興味が湧きます。
候補はいくつかあったのですがこのKLUSON 製にしました。そのまま付きそうなのと、スタッドは鉄製がいいらしく、これの付属スタッドは鉄製且つそのままGibsonと交換可能というレビューを見て決めました。
重さを測るのを忘れましたが、持ってわかるほど軽いです。
裏面は雑に見えますが、ヴィンテージを再現しているらしいです。
置いてみました。
同じニッケルメッキですが、新品は輝きが違いますね。
マグネットにくっつくので、レビューどおり鉄製のようです。
交換しました。スタッドも慎重に回して外して交換しています。ブリッジのくすみが目立ちますね。ちょっと磨きましょう。
ピカピカというわけにはいきませんが、結構綺麗になります。本当は完全に分解して磨きたかったのですが、コマが外れませんでした。
元に戻して完成です。
★アルミ テールピースの効果
テールピースを軽いアルミに変えると、音も軽くなりました。明るくなったとも言えます。特に生音が変わりましたね。極端に言うとビーンという音がシャリーンという音になった感じで、これはエレキ音にも影響しています。また、構造の変化なので、線材やコンデンサよりも音の変化はわかりやすいです。
ということは、反対側のペグも材質や重さが変われば音も変わるということです。面白いですね。直接振動を受けるブリッジやナットの外側で弦を支えている部品なのに結構影響があるということです。
今「重いボディに軽いパーツ」の音になってると思います。 じゃあ「重いボディに重いパーツ」にすべく、ペグをロトマチックにしてブリッジを戻したら?これはきっとビンビンの音になると予測できます。その中で、好みの組み合わせは?これは「沼」ですね。
さて、最終的なレスポールの仕上がりは冒頭の写真を見ていただくとして、どういう音になったかというと、クリーンでは割とパキパキです。ハムバッカーですので、太さ、甘さもありつつのパキッとした音で、意外やテレキャスターっぽいというとわかりやすいでしょうか。
太いゴリッとした音がイメージされるレスポールですが、ヴィンテージのレスポールはどういう音なのか調べていた時に、ヴィンテージに近づけようとするとテレキャスターに近づいていく、という主旨の書き込みを読んだ記憶があります。他のレスポール、ましてやヴィンテージなんて触ったこともないので偉そうなことは言えませんが、ちょっとわかった気がしています。これに歪ませたマーシャルアンプとオーバードライブの組み合わせで、芯のあるレスポールらしい歪んだ音になるのではないかと。
じゃあ好みの音かというとちょっと微妙。やっぱりピックアップを490R/Tあたりにした方が、好みなのではないかと思うのですが、まぁそのうち。締切があるわけでもなく、慌てることはありません。しばらくはこのまま色々組み合わせを試してみることにします。
ではまた次回。
※ご紹介したギターの改造はなんらお勧めするものではありません。ご自身のギターの改造はくれぐれも自己責任でお願いいたします。