Fender J. Telecaster TLG80-60 夜をぶっとばせ
マサトミです。「ロックは死んだ」「ニューミュージックのお葬式」「最後のロックバンド」。。。形容句は色々、時代は変わりました。The Street Sliders、Blankey Jet City、Thee Michelle Gun Elephant、etc、etc。カッコよかったですね。今のバンドも聞きますけど、肌触りが違う感じがします。
ブログ始めてからずっとGretschを記事にしてましたけど、他のギターも持ってます。Fender Japan TLG80-60 Telecasterです。マサトミが最初に購入したエレキギターです。後の方で出てきますが、Eシリアルなので1984〜87年のフジゲンさん製造ですね。購入は多分1988年なので、恐らくその前年1987年製でしょう。
写真はこの記事の改造後です。綺麗に見えますね。
Webにあった1989年のカタログです。
この頃(今もかな?)普及機は大抵ボディはバスウッドでした。アッシュやアルダーのようなトーンウッドではありませんが、クセが無いという印象です。この後1995年にTLG80-70でカタログ掲載を最後に廃盤になったと思われます。
マサトミのバンドサウンドの原点はThe Street Slidersです。Harryさんに憧れて黒のテレキャスターが欲しかったんですね。で、ボディが黒はよくあるのですが、指板がローズウッドでマッチングヘッド(ヘッドの色がボディと同じ)が、このモデルぐらいしかありませんでした。何か最後まで迷ってたモデルがあった気がしますが、覚えてません(笑)。
ただしこのモデル自体はFender USAにあったBlack&GoldモデルのJapan版と思われます。シリアルをあえてヘッドに入れてたり、何かプレミア感を出そうとしてたんですかね?
Slidersのコピーバンドを演るわけでもなく、他のロックやブルースを演ってました。誰もが通る道(?)ですが、 黒一色に飽きてしまったことと1本で色々な音を出したくて、改造しました。まったく使えないフロントピックアップをGibson製のハムバッカーに変更、セレクトSWで上からハムバッカー→ハムバッカータップ→リアに配線変更しました。
Gibson製ハムバッカーは当時標準的にGibsonギターに実装されてた物です。型番はわかりませんが、今の490相当ではないかと。当時のFender Japanのピックアップはハッキリ言ってイマイチでした。改造前はリアしか使ってませんでしたが、改造後はハムバッカータップの出番が多かったですね。
昔はそんなに何本もギターを持ってなかったので、1本で色々な音を出したかったのですが、今はそれなりにあるので、元のシンプルな状態に戻そうかなと。また、嫌だった黒一色も、何かが1周(3周ぐらいか?)して、「カッコいいのでは?」という気がしてきました。
というわけで戻しつつ、気になるところを改造です。レシピはピックガード交換、ピックアップ交換、ナット交換、ブリッジ交換です。今回はパーツ購入が多いのでリンク多めにしました。各パーツの詳細はリンク先でご確認ください。ちなみにアフェリはやってません(笑)。
1.ピックガード交換
白ピックガードを外します。フロントはハムバッカーが入るようにキャビティが広げてあります。当時ピックアップを購入した楽器屋さんで、このザグリ作業だけサービスでやってもらったと思います。
オリジナルの黒のピックガードもハムバッカー用に加工してしまったので、新しく購入しました。ALLPARTS / PG-0562-033 Black Pickguard for Telecaster です。
テレキャスターのピックガードは皆同じに見えますが、何年モデルかによって穴位置が違うし、USA、Japanでも違います。何度も外してネジ穴が緩くなってるので、開け直す気はありますが、加工箇所はなるべく少なくしたいです。このピックガードは穴位置の詳細がWebに掲載されていて、結構合ってるように見えたので、これにしました。
うっ!そうなの!?嫌な予感。。。
。。。やっぱり。なんかいい感じにズレが。近い位置ですが、ネジがつくほどではない(笑)。もう割り切ってほとんどの穴を開け直すことにします。上の写真の細い木は爪楊枝です。この先に木工ボンドを塗って、元のネジ穴に差し込んでます。
で、その木工ボンドなんですが、最初これを使ってました。心のふるさと、コニシの木工ボンドです(笑)。思い出すアノ匂い。。。木工ボンドといえばこれでしょ!
でもこれ、ギターの木工のボンドは違うんですって!
タイトボンドです。コニシは乾いても完全に硬化せず、ちょっと柔らかいままなんですね。これが工作で失敗した時には具合がいいんですが、ギターの場合、更にそのあと削るなど加工があるので、硬い方がいいです。
タイトボンドはギター加工では定番で、ネック補修等にも使われているようです。。。知りませんでした(笑)。Webでもなかなかボンドまで紹介されてないですからね。サイズが色々あって趣味程度なら小さい物で良いので、大した金額ではないです。
さて、乾いたら根本近くで一旦カット。
出てる部分を彫刻刀 で削ります。穴位置をズラすので、飛び出ているとピックガードをつける時に邪魔になります。
白いシートはこの作業用に薄いプラシートで作りました。うっかり手がすべって、キズを付けないようにです。ボディ表面のキズなんて、直そうと思うと気が遠くなります。こういうのは、面倒でも慎重にやるべきですね。
この後の写真が無いですが、ピックガード現物合わせで穴位置決定、慎重にドリルで下穴を空けました。
さて、ピックガードを取り付ける前にフロントピックアップの手当てが必要です。
2.ピックアップ交換。
テレキャスターのフロントピックアップ固定はボディに固定している場合とピックガードに吊り下げている場合の2種類があります。このモデルは前者のボディ固定です。
上の写真で爪楊枝が立っているのが元々空いていたフロントピックアップ用ネジ穴です。ハムバッカー用のザグリに近すぎて、このままネジこむと、まず間違いなく壁が無くなります。
補修の方法は色々と考えられますが、パテにしました。木を削ってザグリ穴に接着が最高かもしれませんが、難易度が高そうです。ネジ穴の壁があれば良いので作業の簡単そうなパテにしました。
ネジ穴の下側に、絵の通り切って、練って、埋めてみました。乾燥硬化後に穴あけです。乾燥するとかなり硬くなりました。
ピックアップはFENDER / Original Vintage Telecaster Setに交換します。実は今ブリッジ側はSEYMOUR DUNCAN STL-2 Hot Tele Bridgeが付いているはず。昔一度APTL-1 AlnicoⅡBridgeにしたのですが、パキッとした音で玄人好みな渋めの音でした。バキっと弾いた時にカッコいいと思えるような、Hot寄りにしたくて当時交換したような記憶が。今回フロントも交換したかったのと、Thee Michelle Gun Elephantのアベフトシさんがこのピックアップを使ってたという記事を読んで真似しました(笑)。
以前の記事にも書きましたが、ヴィンテージ+ちょっと元気ぐらいを狙うには、リプレイスメントピックアップよりはメーカ純正の方が、荒れ感があって好みな気もします。
それに結構安いところもGoodですね(笑)。
FERNANDES / TL PU Cover Nickel Silver Gold
フロントピックアップのカバーはシルバーなので、ゴールドカバーも用意。
カバーは足(?)をちょっと曲げて固定されていました。外します。
ん?
これなんでしょうね?ロウの中に紙が入っているような。ピックアップの頭に紙シートを入れて、そのままロウ漬けするとこうなるのでしょうか?
そのまま入れてもいいんですが、微妙にロウが邪魔なので、ちょっと剥がしました。
ゴールドカバー取り付け。
現物合わせで穴位置を決めたのですが、トラブル発生。穴補修です。
上の写真の右の長い木ネジで固定してます。ピックアップとボディの間にはバネ性を持たせるために左のゴムブッシュを入れます。
適性なピックアップ高さにするには結構ネジ込むんですね。一旦固定して、所用で外出したのですが、外出先でふと、ネジの長さとザグリ部のボディ厚み残りが頭をよぎります。
「アレ?裏に貫通してんじゃね?」
背面は見ていません。慌てて戻って、ドキドキしながら背面を見ます。。。セーフ、貫通はしてませんでした。いやぁ、よかった、よかった。
上がDIYショップで購入した長さが丁度良さげな木ネジ、下がピックアップ付属のネジです。ネジ込みすぎた穴は気持ち悪いので、一旦埋めて下穴を空け直し、ネジを交換しました。これ、いまだに正解がわかんないんですよね。。。首の部分の長さがいらないと思うんですが。
さて、ブリッジ側も交換してピックアップ交換完了です。
次はピックガード取り付けです。ピックガードの金メッキネジも錆びたり剥げたりしてますので、ピカピカのピックガードに合わせて交換します。
MONTREUX / JPN Pickguard Screw Current Gold (12)
無傷で凄く綺麗です。ここだけ見たら新品のよう。
ちなみにコントロール部です。昔ガリがでてセレクトSWは交換済みだったと思います。白い配線は今回ベルデン8503に交換しました。
コンデンサは元々ついてた物から上の写真のオレンジドロップ風に交換されていました。その昔、楽器屋さんで購入した物です。TopCrewって書いてありますが、今となってはどういうシロモノか定かでないです(笑)。当時はよく売ってましたから、それなりでしょう。
更に元はハイパス用コンデンサが付いてましたが、必要性を感じなかったので、昔の改造で外しました。まぁ気が向いたらまた付けてみましょうかね。
3.ストリングガイド、ブリッジ、ナット交換。
GOTOH / RG15 & RG30 Gold
GOTOH / In-Tune BS
FENDER / Brass Stratocaster/Telecaster Nut
ストリングガイドは羽根型が付いてますが、どうも危なっかしい気がして交換です。
ブリッジは見た目があまり変わらずピッチが改善しそうなことと、元の鉄から真鍮にすることで、音がよくなるのでは?と期待して交換です。
ナットはですね。。。さすがに30年でへたったのか、1弦解放時キュイーンと変な音がします。いっちょ交換してみようかと。
また、Slidersのお二人のギターはブラスナットだったんですね。少なくとも30年前は(笑)。どういう音になるのか、興味がありました。
ただブロックから削り出すような工具も根気もないです。なのである程度加工済みのコレにしました。イングヴェイモデル用みたいですね。幅が合ってないのはわかってましたが、まぁ付くだろうと。
作業開始です。ちなみにここまでのパーツはリンク通り全てサウンドハウスさんで購入しています。
元々付いてるナットのサイズを確認。
上側塗装とナットの間をカッターで 何度もなぞり、
少しずつ力を加えて外します。
残念、真ん中で折れました。再利用しないのでまぁいいでしょう。
やっぱりイングヴェイモデルよりちょっと長いですね。
まずナット溝に嵌るように薄くします。
磨きがかかってピカピカです(笑)。
ガバガバにならないように、削って、嵌めてを繰り返します。ナット溝は持ってるヤスリを駆使して綺麗にしてあります。
ブラスナットがどんな音か早く音を鳴らしたくて、ちょっとキツめな段階で無理したら。。。
ギャー!!!か、欠けた(涙目)。焦っちゃダメですね。反省です。
欠片は残ってたので、木工ボンドで接着しました。目立たないように、そのうち磨こうと思ってます。
で、高さは全然高いのですが弦を張って弾いてみると、ギャンギャンとした、いかにも金属的な音がします。これは楽しみですね。
次は高さ方向を削ります。
手持ちの工具で色々試して、この缶スプレーにヤスリを巻いた状態が一番作業しやすかったです。とはいえ、かなり時間がかかってます。真鍮が柔らかいとはいえ金属ですからね、数時間は削り続けました。もっといい方法がある気もしますが。。。
元のナットと比べながら、削って、測って、嵌めてを繰り返しました。
ストリングガイドはそのまま付け替えできました。
ストリングガイド、ナット完成です。ペグ-ストリングガイド-ナットが微妙に直線にないですが、ナットの幅がわずかに狭いので、無理に最適化はしないことにします。
この段階でのブラスナット効果ですが。。。高さを合わせると、割と落ち着いた音になりました。金属的と思ったのは「高さのあるナットの音」「凄く弦高が高い時の音」だったのかもしれません。
まぁ開放弦の音は少し金属的になり、押弦した時の音に近い気がします。
ブラスブリッジです。見た目全く違和感ありません。で、この時の音ですが。。。
。。。ん〜。
。。。ん〜、ちょっと違ったかな。ギャリッとしていたのがニチッとした音になったような。真鍮の柔らかさがそのまま音に表れてますね。
倍音が減って芯が強いとも言えますので、バンドで鳴らすにはこの方がいいかもしれません。
今回の狙った音とは違うと判断、潔く元に戻しました。そうそう、この感じ、この感じ。最初のギターの音の刷り込みもあるかもしれませんね。
完成です。
黒一色もカッコいいですね。これはGretsch始め他のギターがあるから、とも言えますね。
重さは3.6kgぐらい。マサトミのギターは偶然にもこのぐらいの重さが多いですね。
★改造後TLG80-60の音★
ピックアップのところでも書きましたが、今回の狙いはアベフトシさんのギャリッ!ジャキッ!とした音です。
かなりいい感じになったと思います。これはピックアップの効果が大きいと思われ、また、フロントピックアップの音が結構使える音になりました。
アベフトシさんのテレキャスターはボディがアッシュなので、これでボディがアッシュだとどうなるのか気になるところですが、ボディ交換したらそれは別のギターでは?という気もして、しばらくはこのまま愛でようかな。思い出のギターですしね。
それではまた次回。
※アベフトシさんは2009年7月22日、急性硬膜外血腫で他界されております。無二のカッティングギタースタイルを確立し、それを変えないところが本当にカッコいいです。謹んでご冥福をお祈りいたします。
※ご紹介したギターの改造はなんらお勧めするものではありません。ご自身のギターの改造はくれぐれも自己責任でお願いいたします。