Gretsch Black Falcon Double Cutaway 7594B 光の鷹舞い降りる時
マサトミです。
去る2021年5月25日漫画「ベルセルク」の作者三浦健太郎先生が急性大動脈解離にてお亡くなりになりました。心よりお悔やみを申しあげます。
「ベルセルク」は多くの謎、伏線を残したまま未完となってしまいました。一読者としては続きが読みたい。。。続きが描かれるという噂もあり期待したいところです。
さて、今回のギターは紹介、というか自慢ですw。
Gretsch Black Falcon Double Cutaway 7594Bです。White Falconは「世界一美しいギター」として有名ですが、近年では色違いモデルも存在します。しかしこのモデルは92年製で、当時のカタログには掲載されていませんでした。
当時ギター雑誌の白黒ページの小さい楽器屋さん広告に掲載されていたことがあり「これなんだろう?」と思ってました。
94年頃と思いますが、ある時ふらっと楽器屋さんを覗いたら、見慣れないGretschがあるじゃないですか!Outlet扱いで、店員さんによれば「倉庫(?)で眠ってたから引き取ってきた」「本当の新品ではないのでOutlet」「色は試しに塗ってみたのであろう。そういうことはある」とのこと。
ハードケースには経年感があり、Bigsbyのバネが欠品でした(バネは純正でないものをおまけで付けてくれました)。色については確かにFender Japanでもカタログにない色のモデルを楽器屋さんで見たことがありました。今で言うFSR(Factory Special Run)ですね。
そんな一品物のレア感も手伝って、もう一目惚れですw。
定価に比べたらかなりお安くて次回来店時は無いかもしれないと思うと我慢できず、閉店間際でしたが無理無理ローン契約してもらいそのままお持ち帰りしました。
それでは闇の鷹(ホントは隼w)を見ていきましょう。
Falconのトレードマーク、微妙な隼?のイラストが素敵です。ちなみにFalconは訳すと隼です。ずっと鷹だと思ってましたが鷹はHawk、鷲はEagleでしたね、そういえば。あれ?ファルコニア??
他の機種と同じくメイプルボディ、メイプルネック、エボニー指板のフルアコです。違いはネックスケールで他機種はミディアムスケール、White Falconシリーズはロングスケールです。そして見ての通りBigsbyがあるので、弦が届くギリギリの長さです。ダダリオを使ってますが、3、4弦はカットしてないと思います。
ピックアップは当時のセラミックマグネットFilter Tronです。最上位機種ですがまだTV Jones登場前ですからね。
コントロールはピックアップセレクタSW、右上がマスターボリューム、右下は各ボリュームとマスタートーンです。
内部構造は後ほど。
重さは4kg。この頃のGretschはガッチリとした作りなのでそれなりに重いです。現行はもっと軽いようですね。
ブリッジは当時標準的に採用されていたローラーブリッジです。弦が乗る部分が滑車のようになっていて回転することでBigsby使用時のチューニングの狂いを防ぐ構造です。また、側面のネジで横方向のガタつきを無くすことができる構造になっています。
結構凝った構造で高級感を出す意図と思います。ただコマに若干ガタつきがあって弦が外れやすく、写真では上下(前後?)をひっくり返してこれを防いでいます。ブリッジ台は、これも当時全機種同様に固定されていません。
Falconシリーズの特徴のある大きめのヘッドです。これにバーチカルロゴの入ったモデルもありますが、マサトミはこっちの方が好きです。 ロゴとトラスロッドカバーのラメがスゴイですねw。
そしてこのバインディング!世界一美しいと呼ばれる所以、かどうかは判りませんが、横から見た時のゴージャス感がスゴイ!この角度めちゃカッコ良くないですかw。
いつもの真横から。。。
どーですか、奥様!ちょっとしたパーティーのお供にいかがでしょうかw。
Fホールにも薄めですがラメが貼ってあります。
反対側です。。。後述しますが、このアームを見ておや?っと思った貴兄は、かなりのマニアですw。
ネックのバインディングも同じラメです。 ヘッドの横まで繋がっています。
内部のラベルです。White Falcon Double Cutawayは7594です。そのBlackなのでBかと。シリアルは先頭の92から92年製、ーの後ろが号機と思われますが、なんと1桁です。(すいませんが号機は念のため内緒にしておきます)
。。。今で言うFSRのような、と書きましたが、このラベルを見るとひょっとして輸出モデルだったのかもしれませんね。しつこく検索すると、海外で数件ヒットするので、その可能性もあります。
さて、写真では美品に見えますが、過去大後悔の大失敗をやらかしています。夏場にスタジオで使用してろくに拭かずにハードケースに入れて、諸事情によりそのまま二週間ほど放置してしまいました。。。その結果。。。
キャー!錆で酷いことに!直接手の汗がかかったと思われるブリッジ側ピックアップとアームは酸化により所謂「緑青(ろくしょう)」と呼ばれる緑色のブツブツが。。。フレットもガリガリ。
ショックで愕然としつつ、綺麗にできないかと金属ミガキを使って金メッキを磨くという愚行によりいよいよ取り返しのつかない状態にしてしまいました。若気の至りですね。
知ってる方も多いと思いますので自戒を込めて書きますが、金メッキは弱いので、金属ミガキを使うと金色が落ちて下地の銀色(ニッケル?)が出てきます。元には戻せないので、意図的に行うのでなければ絶対にやってはいけません。
乾拭きか、研磨剤の入っていないクリーナーでほどほどに綺麗にすることをお勧めします。金メッキの状態を維持したければ、まめなお手入れが必須です。
マサトミがやらかした使用後の放置も、ケースに入れっぱなしでなく出しておけば随分違ったのではないかと思います。
ちなみに最近は乾拭きしてフェルナンデスのSurface Protectorを使っています。
その後どうしたかというと「そのうちパーツ全交換しようかな」「でも結構費用かかりそうだな」と思いながら20年以上そのままでしたw。まあ興味も無くしてましたし。
で、このブログを始めた頃に最も状態の悪かったブリッジ側ピックアップとアームをネット購入して交換しました。この時Bigsby純正のワイヤーアームを購入したのですが、以前は横から見ると真っ直ぐだったのが、今は立体的にカーブした形状に変更されてました。見た目はカッコいいのですが、アーミングとケースに入れるのに下に向けるには前の方が良かったような。。。
その他の箇所は記憶のイメージよりダメージは少なく、できる範囲で綺麗にしました。通常の使用感なら気にしないので、もう美品と言える状態で満足です。
。。。ながっ!長文になってしまいました。いやー、なんとなくやらかした写真は入れたくなくて後悔の禊ぎのようにつらつらと。。。
更にこれも蛇足ですが。。。
メンテのためにピックガードを外しました。ゴムで浮かせてありました。
で、このゴム、経年でピックガード裏側の金塗装がくっついてしまいます。
ピックガード裏側。黒っぽく輪っか状に見えるのは 金塗装が薄く剥がれた跡です。
表から見るとこんな感じ。
剥がれを防ぐように紙を入れてみました。今でも構造は同じだと思います。購入したばかりの新品であればまだ救えるかもしれませんね。
ブリッジ側ピックアップを外したところです。ピックアップ高さ調整ははお馴染みのスポンジですね。
内部のブレーシングがちょっと見えます。
fホールから。この構造はワッフルブレーシングというそうです。ボディ真ん中の前面、背面両方に補強が入っています。背面側のワッフルのように見える補強板からのネーミングでしょうか。
前面側の内側は平らですね。ところどころ切れ目(?)のように見えるので、接着面側はワッフル状かもしれません。
ブリッジ下あたりに魂柱が立っています。
別の角度です。魂柱を正面から撮るのを忘れてしまったので、幅が少しでもわかるように。まあ想像する程度の幅で特別幅広なわけではありません。
★ Black Falcon Double Cutaway 7594Bの音
いきなりですが、極論Gretschはどれも似たような音ですw。材質とピックアップが同じですからね。でも構造の違いで6120-60とはちょっとだけニュアンスが違います。全長の長さからハリのある音になりそうですが、こちらの方がちょっとだけ甘い、丸い音です。6120-60はもっと箱に弦を張ったようなパキッとボワッとした音ですが、厚いブレーシングによるボディ構造の違いでソリッド寄りになっているためではないかと思います。
このギターはFilter Tronの交換はしないつもりです。比較的パワフルな音が見た目のイメージにもマッチしてるし、6120SSUもあるので違った音の方がいいかなと。それに主な用途は観賞用ですしw。
それではまた次回。
※ご紹介したギターの改造はなんらお勧めするものではありません。ご自身のギターの改造はくれぐれも自己責任でお願いいたします。