オレギ。

オレのギターを弄るブログ。

Gretsch 6114A New Jet (She's)Sexy+17

マサトミです。サブタイトルはStray Catsの曲です。邦題は「セクシー&セブンティーン」。昔の洋楽は邦題ついてましたね。世の中がまだ英語慣れしてなくてカタカナ文化だったからでしょうか。「涙のラナウェイ・ボーイ」「ロック・タウンは恋の街」なんてこれはこれで一周してなかなか素敵なタイトルだと思います。

 

 

 さて、最初にご紹介した謎のJet、Gretsch 6114A New Jetの詳細です。

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まず、モデル名は「New Jet」です。なんとまあ紛らわしいネーミングですが、新型という謳い文句ではなくて、「Duo」とか「Roc」の代わりに「New」です。

 型番は6114、AはAntique MapleのAのようです。これ以外に赤のモデル(R)と黒のモデルもあったようです。 

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型番とシリアルナンバーのラベルは背面左下の半月型カバーを外すとあります。f:id:MASATOMI:20200517170851j:plain

2001年製ですね。

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重さは3.6kgぐらい。

 

情報があまり無いのですが、海外のサイトでは少し残っています。

The "New Jet" Gretsch Guitars! Smooth, Sleek and Sexy! | Gretsch

 「Smooth, sleek and sexy!」がコンセプトでしょうか。直訳すると「滑らかで艶っぽくてセクシー!」??。。。ちょっと何言ってるか判んないですね。

 

製造期間は6114を画像で検索すると2003年製まではひっかかるので、2001年-2003年だったと推測しています。ちょうどGretsch社とFender社との提携が始まるのが2003年なので、その直前に現代的なSpecで新しいコンセプトのモデルとしてリリースされ、提携後に残念ながら廃盤の憂き目にあったのではないかと思います。

 

 見た目の最大の特徴は何と言ってもトップのフレイムメイプルです。

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Jet系は基本的にメイプルトップ/マホガニーバックのボディとマホガニーネックの組み合わせで、ボディはチェンバード構造と呼ばれる空洞構造です。これはこのモデルも同じですが、Jet系でトップにフレイムメイプルを採用したモデルはあまり見たことがありません。また、トップ角にバインディングが無いことも特徴です。「滑らか」の所以でしょうかね!?

 

ヘッドはヴィンテージDuo Jetのような細身ではなくて、Roc Jetや現行と同じ広い形状です。私はこっちのほうが好きですね。大きいほうが質量があるので音にもいい気がします。

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ポジションマークもハンプトップであり、Gテールピースも相まって総じてRoc Jetの派生機種のような見た目です。

 

先にブリッジをコメントしますが、木製の台座はなく、ポストが直接ボディに打ち込まれています。

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木製台座あってのGretschとも思いますが、このあたりが「New」とネーミングした理由にもなっていると思います。これに合わせてネックの仕込み高さが違うはずですが、他のJetモデルをもっていないので比較できません。

 

ちなみに上の写真はブリッジをGOTOH製GE104Bクロームに変更しています。もともとついてたブリッジはこちら。

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Gibsonと同様に落下防止ワイヤがついているタイプです。ニッケルメッキなのでサビサビです。のちに「磨けばそれなり」ということがわかるのですが、気持ちが早ってGE104Bを買ってしまったので、まあ交換しとくかと。

 

で、2番目に大きな特徴はピックアップです。黒い六角穴付きボルトのポールピースは改造したわけではなくて、これでオリジナルの状態です。

さっきの海外のサイトでは「Dual FilterTron pickups-TV Jones Design」と記載されています。これは興味深いですね!!TV Jones 「デザイン」!!何をデザインしたのでしょうか?

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ぱっと見当時のFilterTron(以下FT)と同じ構造のようです。高さ調整はいつもどおりスポンジです。カバーはブリッジと同じくニッケルメッキですね。カバーを外します。

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そのうち紹介しますが、半田付けされたカバーを開けるときは薄刃のこぎりで半田を切っています。

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今日一番の見どころは上の写真!

この頃のFender社提携前の通常のFTはこちら。

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通常のFTは厚さ6mm幅12mm長さ60mm程度のマグネットが使われています。このサイズは一般的なハムバッカーピックアップのマグネットの厚さを2倍にしたようなサイズです。また、この時期のマグネットはセラミックです。

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もう一度同じ写真です。ハムバッカーピックアップと同じサイズのマグネット、通常よりも薄いマグネットを高さをかせぐためスペーサを使って実装し、通常のFTよりも磁力を弱める効果を狙っているのだと思います。

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反対側からみるとこんな感じです。これ以上は分解していません。マグネットがアルニコかセラミックか見た目では判断が難しいですが、金属を当ててみた感じは磁力が弱そうですので、アルニコの可能性が高いかなと。

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コイルの抵抗値はフロント:8.6kΩ、リア:11.7kΩです。

さきほどの通常のFTのリアが8kΩぐらいですので比較すると高め、特にリアはかなり高めです。ちなみにTV JONESさんのTV Classisがフロント:4kΩ、リア:4.8kΩです(TV JONESさんホームページ掲載値)。

Fender社提携前の通常のFTはかなりパワーがあり、比較的ハムバッカーよりの音です。まあ、構造はほぼ同じですからね。これがヴィンテージのGretschと音が違うと言われていた理由のひとつです。

これをマグネットの変更でややパワーを落として相対的に高音よりに、でもTV Classicほどにはヴィンテージテイストにはしない(=モダンに)チューニングするために巻き数を増やしてるのではないかと思います。実際の音もそんな感じですが、どうでしょう?教えてTV JONESさん!!

あ、ポールピースの効果はわかりません。単に見た目じゃないですかねー(適当)。

ただですね。。。この改造、実は似たようなことをやったことがあります!

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色が近くてわかりずらいですが、スペーサは自作、マグネットはAmazonで購入したハムバッカー用の中華アルニコ5です。

5、6弦のブーミーな感じを抑えたくてやってみたのですが、結果は思った以上にパキパキの音になりました。HiLoTronのような音をイメージしていただくと近いのではないかと(主観です)。これはこれで悪くはないのですが、ちょっと行きすぎた感があります。

 

やってることは似てますが、音は似てないですね。この6114のFTのほうがパワーのあるしっかりした音です。「 Smooth, sleek and sexy!」ですからね!ちょっとやそっとじゃ近づきませんよ、そりゃ。まあよくわかんないですけど。

あとはキャビティ内部など

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セレクタSWです。

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ポットは小型のものが使われています。

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トーン用コンデンサは安価な物です。まあ普通と言ってもいいかと。ポットはボリュームにBカーブ、トーンにAカーブを使ってますね。このAとBの使い方はどっちが正解なのかよくわかりません。きっとどっちも正解なのでしょう。現状で違和感はありません。

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わかりにくいですがブリッジ下部のチェンバード構造です。ピックアップからブリッジ周辺にかけて、内部に櫛状のセンターブロックが入っています。

最後にケースです。

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国内モデルとはケースが違うみたいですね。Made In Canadaです。よさげですね。現行のケースを見たことないのですが、どんな感じなのでしょうか。

 

紹介としては以上となります。次の記事では6120-60でも。。。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

え?何?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

音?何の?

 

 

 

 

 

 

 

 

ああ、6114の音?

エレキギターとしてのレビュー?

 

 

 

 

 

 

 

 

それ聞いちゃうの?Gretschなのに?

 

 

 

 

 

 

 

 

。。。冗談はさておき、どうなんでしょうね。Gretschの音って基本的にFTの音だと思うんですね。これにギター本体の構造により少し味付けが加わるような。

 

基準としては一番耳にするのはやはりStray CatsBrian Setzerさんの音なので、Gretschらしい音=Brian Setzerさんの1959年製6120に近い音、と捉えています。

 

 Duo Jetとか弾いたことないので同系他機種との比較はできません。木材の構成からするとレスポールと同じですが、チェンバード構造なので生音ではボディの鳴ってる音が聞こえます。ただこの鳴りがピックアップ後の音にまで影響しているかというと、それほどでもありません。どちらかというと「軽いボディのギターを弾いている」という感覚が近いですかね。

 

また、マホガニーネックなので、メイプルネックのギターに比べれば若干甘い、高音のピークをちょっと抑えたような音になっている気がします。ちなみにネックはやや薄目で日本製としては普通といえば普通な感じです。

 

これらと前述FTとの組み合わせで、

 ・Fender社提携前の6120ー60より所謂Gretschの音がする。

・特に高音はネックの影響かピークを抑えた感じが助けになっていて、FTの特徴である1、2弦のニャキッとした音がする。メイプルボディ、メイプルネック、フルアコの92年製の6120-60と比較すると、材質は違うのに6114のほうがよりBrian Setzerさんらしい音になってる気がする。

・低音はブーミーになりすぎない範囲でしっかり出る。逆にGretschらしさで言うとちょっと違う感じ。

こんな感じですかね。 

 

エレキギターの音色については奥が深いですよね。動画もよくみますけど、結局所有してみないとわからないと感じてます。

 

ではまた次回。